住まい・インテリア

2009年11月25日 (水)

古い椅子。役得?

出張から帰ると、家の前に椅子が1脚置いてあった。

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息子が仕入れたものらしい。

これは売れると是非、年末の古民具展用にとパートナーに尋ねると、「だめ!これは私がもらったんやから」

ふーーーん。   役得か・・・ちぇ。

数年前にも、金沢市内の旧家より蔵出しした椅子をパートナーにせびられ自宅保存となった。

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現在、」パートナーの足裏マッサージ器の椅子になっている。

生地を張り替えたとき、中のパッキンより明治43年の新聞が出てきた。

このときは、残りの2脚は1脚¥80.000で生活費に消えた。

なくなるよりましかと思っている。

足の長さのスパンが、どう見ても外人向きで、私なんぞは子供のように膝から下が地面に届かないとは言わないが、体型に合わない。輸入椅子かなと思っている。

脚部分や手掛けは1木の彫刻と彫り物である。

それに比べると、今回の椅子は時代はそんなに古くくないが、しかし、風格がもう出ている。

そして実は、もっと凝ったものを秘蔵している。

倉庫に置いてあるが、近々中に漆を塗ってみようと思った。

仕事柄、商材には惚れぬようにしているが、もう2度と手に入らぬものは、役得にしても良いかなと思っている自分がいる。

これも、明治期の輸入椅子と推察している。

塗り工程で初公開します。

乞うご期待。

ところで、息子に聞いたら、母親にあげた覚えは無いと言っていた。

どうなっとるんや?おい。

¥35.000は見える値段やないかい。

気弱な私はその1言が言えずに、黙っている。

来年は本格的なニス塗りを勉強してアンティーク洋家具に挑戦もいいなと思っている。

番台おじさんの独り言でした。

2009年11月13日 (金)

古い箪笥の修理・リファイン。

7月に会津若松のギャラリーさんよりお預かりした箪笥を21日に配達に行きます。

カルテ用に破損箇所を記録してあります。

以前に、御預かりでリフレッシュさせていただいてるので、今回のものは前回より状態の良いものをお預かりしました。

どうも、皆様最初は半信半疑で壊れても良いものを試しにだされるけいこうがあるのでは・・・?

ともあれ板の隙間とねずみのかじった痕と虫食い穴、それに裏板の補強が塗る前に補修としてありました。

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補修後です。

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ここから、柿渋で木理を浮き立たせて漆の工程に入りました。

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東北の箪笥独特の金具の重厚感と画面でわかりづらいのですが大きさの違う小引き出しをクロスで配置するおしゃれな箪笥です。

引き出しの中は手漉き紙を貼りました。

漆だけの仕上げよりも、松の木理が浮き出てよい仕上げの2段重ねの箪笥に仕上がりました。

後1週間で、何点かのお預かりを仕上げお持ちいたします。

帰り荷に、再び修理品をお預かりの予定です。

又、21日より茨城県のギャラリーさんで企画展です。

荷造りと追送品の製作に追われそうな1週間が始まります。

2009年10月20日 (火)

究極の古民具再生

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これは桶の側面です。

たがをはずし下駄の歯のような足をくっつけ、表に布張りして今から根来に仕上げます。

仕上げの漆を塗り重ねると、ノミや鉋の跡がよい味となって浮かび上がります。

あまり期待もせず、昔使われ桶として再生できないものを再利用して器として提案しましたが意外と人気です。

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昔、大家族で使われた飯櫃。

電気炊飯器になってから絶滅種です。

布を張り、隙間を埋めてお茶碗や急須を入れる茶櫃に再生します。
蓋は茶盆に利用できるようにする予定です。

杉の柾目を使い、材料としては良いですから、本来用途を離れた使い方をいつも考えています。

人生もパソコンのように簡単にリセット出来る錯覚に陥ります。

人間も再生できたらとふと思います。

とんでもない間違いと思う自分もいます。

人は若し「学び」のためにこの世に生まれてきたとするならば、喜びも悲しみも皆、意味のあることで、そのことが教える意味を叡智で気づかなければいけないのかもしれません。

いつの時も試されている自分を感じます。

誰にでも、言えない、言わない悩み・苦しみがあると思います。

日曜日の朝6時からNHK教育TVで各界の著名人が選者となった心に残る万葉集の紹介があります。

1300年以上前の人の心模様も今もほとんど変わらないと感じます。

変わったのは便利さだけかも・・・。

人の生き様に理不尽な悩みも苦しみもつきもので、結果として正解不正解が無いようにも思えてなりません。

今の自分のレベルではやはりそれは「学び」として捉えるしかありません。

「死にたいのではなく、生きることが嫌になった。」 伝 加藤和彦の遺書の1節

哲学的で深い言葉のような気もします。

今なら死ねるという一瞬が皆さんにもあるのかな?

ふと、究極の生の体現は死を体現した瞬間かと思いました?

古民具は1度人間から見捨てられ、たまたまご縁で再生されていきます。

骨董屋の手に落ちると、売れないものは再びゴミです。

このゴミをわざわざお金を頂いて使っていただくということは、骨董品を買う感覚とは違う所に価値観を創造しなければかないません。

これはアートでもなく工芸ではあるのですが、自分でうまく説明できない分野です。

確かなのはこれまで支持していただいたという事実のみです。

この仕事、ちかじか縮小する予定です。

来年はジャンルを変えての自分の再生が始まる予定です。

新しい「学び」が始まろうとしています。

2009年10月 9日 (金)

古い蒔絵のお膳・お盆・陶漆花器・

この2日間のお仕事を時系列で・・・

古い蒔絵のお膳は布貼りに・・・。

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今日は端切れをカットし、下地付けへ・・・

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へらの角がうまくなくて地付けにラインが浮き出る。
へらの調子を整えないと・・・。

古い栗のお盆は脚に錆付けして、生漆でお化粧。一応仕上がり。

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艶上がりがうまくいったな~。

奥さんの花器は首の平面を根来にすることに決定。

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中塗りの黒は2回塗り。

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塗ったばかりの淡口朱は顔料の色が勝っています。

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1昼夜で漆が勝ってきて黒目の塗りあがりに・・・。

明日研ぎ上げます。

結果がすぐ見える仕事ばかりしています。本音は手間が掛かる仕事に取り掛かれない自分がいます。

早く取り掛からないと間に合わない。
心の葛藤を続けて3日間ばかし経っています。

今日健康診断の結果が来た。
要精密検査。
そんなこと判っています。
昨日、家内の高校の同級生で、椅子の張替えをお願いしてるN君が、私の仕事の支払いに来た。
検診で引っかかったそうである。
前立腺がん。
同い歳である。80才を越す健在なご両親の顔が浮かんだ。
晩婚でお子さんはまだ、上が中学生である。
特殊な仕事で、仕事は性格もあり確かで仕事の切れ間がない。

いつも仕事場を覗く彼が家内のいる店だけに寄って帰っていった。
報告を家内から夜聴いた。
「当分、張替えの仕事は頼めんよ。あの人、再検査のため仕事の整理しとる。」

「1粒の種」にならんと言い聞かせている自分がいる。
心の葛藤は、しばし続く。

2009年10月 8日 (木)

古民具再生の1例

あまりにも良い仕事のかわいい蒔絵の足つきお膳だったので、思わず10膳を買ってしまいました。

ありゃー。

裏を見ると立ち上がりと底の間が切れていました。
これでは売れん。
直して塗りなおしたら高くついて、売れる値段にならない。

冷蔵庫の中を覗き込んで、今夜のおかずの献立を考えるように暫し黙考。

新しい再生方法を試します。

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付いていた脚をとりはずしました。
これで本体はテーブルに置けるずり膳形式のおしゃれなお茶セット用のトレイに早変わり。

これを裏だけ布張り補修して傷が目立ちにくい塗りにします。

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恐らく江戸時代に作ったと思われる手回し轆轤のあとが残る栗の大盆。
これが、狂っていて味はあるのですが、実用に向かない。

これにお膳の脚をくっつけました。

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緊急避難とはいえ、あったら良いなの古民具再生品が2品出来ました。

いつもこんな風にうまくいくといいのですが、そうはいかないのが人生。

仕上がりは何日か後にお披露目します。

2009年9月 7日 (月)

日本の古民具。布貼り

オファーをいただいている複数の企画展の期日が、迫ってきました。
多重債務を抱えているような心境に・・・。

今夏、体調を崩し、20日間は仕事が進まず、やっと軌道に乗った頃は製作日数が足りません。

麻布を絶滅種の日本の古民具に貼っています。

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米糊と下地漆を混ぜ合わせた「糊漆」というもの。

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一斗枡と呼ばれる米の量器です。
明治期までは角型で大正期からこの丸型にデザインが変換し昭和30年頃まで汎用されていました。

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足踏みミシンの椅子です。

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小箪笥の布貼りです。

9月から10月に架けて4箇所の企画展。
手作業と言うことを考えると、狂気の沙汰に近いと今思っています。

それぞれに責任を持つと言うことで、死んでも遂行をしなければと、思っています。

今日から2箇所の作業場で一気に布貼りを行います。
いざ、出撃。

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ちなみに完成するとこのようになります。

2009年9月 3日 (木)

古民具の机と箱階段

Cimg3132

古民具の机

骨董と違うのは、引き戸にはめ込まれた紙を貼った板をはずし、昔ガラスを入れたところ。

そして、桐で出来た本体の白っぽいニス塗りを漆で塗りなおしたところ。

結構、ぼろぼろでしたが、現代空間のお家でも、すぐに、インテリアや実用としてお遣いいただけます。

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箱階段

そのままですと、持ち運びが困難なので、思い切って2つのものに切り替えました。

一見わかりませんが・・・。

引き出しも増やしました。

塗りは当時と同じ弁柄・柿渋・漆です。

10月に福岡県と茨城県にて企画展をいただいています。

DM用の写真を撮影しました。

福岡県は古民具と家内の陶芸展。

茨城県は骨董展。

2009年8月28日 (金)

古いテーブルの再生。その4

仮組み立ての開始です。

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ぐらぐらの緩みの遊びを、少しずつ各パーツに負担させ、要所に最小限度のねじ留をしました。

Cimg3113

あちゃー。中板が製作時より4センチくらい縮まっていました。
隙間が大幅に空きます。
しかも、当たり前なのですが、板の縦方向はそのままで、幅方向が縮んでいる。

「卵型」

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埋め木を施しました。

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4本目の脚もはめ込み、この後、写真白い丸の部分に埋め木を施しました。

今度は組み立てて、色の調子を見ながら、仕上げの拭き漆です。

天板の小口面は布張りがさりげなく見えるように仕上げを考えなくちゃ。

2009年8月27日 (木)

古いテーブルの再生。その3

漆の工程に持ち込んで、ある程度色上がりの下準備は終わったので、組み立てを前提とした作業に入ることにした。

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昨日、古い蚊帳を天板の小口面に貼り付けた。
こうすると、両手に持って運んだとき滑りにくく持ちやすいし、ぶつけてときも凹みにくい。

下地の調合。カッターにて余分な麻を切り取り、下地を施す。

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湿気で乾燥させます。

今日は、脚部分のぐらぐらしている部分を接合しました。

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3箇所だけ接合がみそです。
古いものにありがちなことで、嵌めこむ臍が最初から経年の狂いで合わない。

最後の1本はすべて仮に嵌めなおさないと怖くて接合できない。

何故なら、ぐらぐらでバランスをとっていた、カーブ部分は再接合に硬質の接着剤を使用したので、柔軟性がなくなっているから・・・。
ギリギリで組み立てないと早晩ぐらついてくる。。
最悪、天板の臍部分を蚤で欠かなければいけない可能性も・・・。

明日は仮組みしてから次の工程に進みます。

2009年8月24日 (月)

古いテーブルの再生。その2

分解した部材に塗ってあったニスを研磨して剥がす事にした。

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昨日、痩せの来ないポリエステル系のパテでコーキングしておいたのを、サンダーで剥がして見た。

ニスが予想以上に固い。よい塗装の証拠で、下地がしっかりと密着。苦戦を余儀なくされた。
再度、拾いパテ。

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臍の構造は以下の通りで、そのまま抜けない、そのままはめ込めない。

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当たり前のことであるが、これに当時は尿素系の接着剤で止められていたのだろう。
手ごわい。

手磨きで細部の塗装を落とし、これから自宅の漆塗り場に運び込むために、車に積み込んだ。

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材料は天板が寄木の欅と判明。この時点で、拭き漆と決めた。

今日は、午前中にお預かりのテーブルの再塗装品の納品に出かけた。
これも、仕上げの状態をカメラに収め損ねたが、仕掛けで紹介したいと思う。

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木に湿度があるうちに、ポリエステル塗装が施されたため、機密性の高い塗料の属性で湿気が塗料と木地の間に白く挟まった状態。白くぼけていたのである。
すべて剥がして塗る前の状態です。
これも、木が呼吸できるように漆にしました。
足部分との色を漆で合わせられるかが、勝負でした。

「頼んでよかった」「見違えるばかりになった」と言っていただけました。

見積もりに行き、1年間ほったらかしにしていたのに、お電話有。
7月にお預かりし、申し訳ないので、1ヶ月で仕上げた。

申し訳ないやら、嬉しいやら・・・。

この仕事、唐木の無垢の天板なのでお受けした。
多分買うとかなり高いと思う。
直しの値があると思いました。
なんでもお金になればと仕事は請けないようにしている。

このようなお仕事に比べ、もっと古いものは手間がかかる。

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サイズを小さくしてばらした箱階段です。これに引き出しが2つだったのを、上段と下段左に収納の引き出しをつけています。
悪戦苦闘。今も漆を塗りながら、再補修を繰り返しています。

今日は盛りたくさん。

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籐家具のソファーがギブスを嵌めた状態で持ち込まれた。

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折れている。作業指示があるので、2~3日中にこのギブスをはずしてみるつもり。

いっときますけど、私は家具職人ではありません。
人が勝手に持ち込むだけ。
真面目な仕事は出来ません。
ただの便利屋さんです。

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