古民具時代刀箪笥 布貼りリメイク
仕事はいくつかのものを組み合わせて進めると、採算と言うものが何とか合ってきます。
栗の丸テーブルを作業する前から、3年前に注文いただいた幕末期の刀箪笥を3ヶ月かけててがけていました。
丸テーブルと好対照にあきれるほどの乾燥時間をかけて仕上げてきました。
横幅が120センチ強と長鞘がすっぽり入る大きさです。
骨董屋が私のところに持ち込んだときには、前棹も無く金具も腐った部分もありがめ戸という小開きの扉も無く骨董的には価値の少ないものでした。
[ふるいものに手を入れたのは・・・・」よく言われるんです。
現物をみるまでは・・・。
私は骨董品としてそれ自体が「品格」に近いものを持ってしまった品には手を入れません。
それ自体が修理やリメイクを施さなければ100年単位の歴史と職人達の技術がゴミ捨て場行きなんです。
ごまかし・隠しで時代を売るようなことはしません。
第一、壊れたもの・捨てるもの以外このご時勢にだれが売りに出しますか。
NET上も含め時代箪笥がごろごろあるわけがない。
3本で1本の箪笥なんてざらだと思います。
需要と供給の関係でお客様のニーズに合わせた商品が出てくるだけのもんだと思います。
そういうものは骨董屋さんに売るのを任せればいいんです。
私が目指すものは物の持つ本質を見極め今、インテリアとしても実用としても使えて、次の100年を目指せたらというものを手がけられたらと言うことなんです。
わからないように直すのではなく、今にあわせてリメイクするのです。
布張りは、高気密・高断熱の今の家には、到達した施工の1つなのです。
残された金具を見ると福井県の三国箪笥か武生箪笥の特徴がありました。
ベースの桐の素材に特段の問題が無いのが救いです。
お客様にそのままの状態でお見せし、時代の同じ金具に出会えたら取り掛かると言うことと、家の中がうす暗いので明るい赤に塗って欲しいと言う要望で、赤に塗ってみました。
写真の赤は色が違って写っています。残念。
この時代の金具は明治以降のものより肉厚なのが特徴です。
明治期は量産の気配が見え始める頃で、装飾的でもなく平板な印象があります。
この江戸期に近い金具は業者のマーケットでも高くて中々手が出ません。
思うものは手に入らなかったのですが、何とかバランスの取れるものを取り付けました。
引き出しの中は手漉き紙を貼ってあります。
鍵は鍵で骨董業者さんの 在庫数百本の中から、1本1本指してみて探し出しました。
2~3日中にお客様へご案内いたします。
本当に儲からない仕事だとおもいます。
でもこのようなコンセプトの仕事をしている業者はまだ数すくないのです。
骨董業の息子ではないのですが、「父ちゃん、商売はスピードや。自分の趣味で仕事すな。壊れてても、曲がってても業者市では売れるんよ。」と時に説教されます。
それはそれで正しいことだと思う自分もいます。
この世に生きている以上、自分にしか出来ない仕事があっていいとも思っています。
いけるところまで行きましょう。
「お金は大事。同じくらい大事なものあるんよ」ともう60年近く生きてくると思う自分。
私の人生は息子にコピペできないし、息子の考えも、生きていく事の中では間違いではない。
まあ、あんたの人生はあんたが築き上げていくしかないしと思うこのごろではあります。
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コメント
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高さ、奥行きの寸法はどの位でしょうか。販売するとすれば幾らでしょうか。
投稿: 小間藤 | 2013年10月23日 (水) 22時18分